不登校の定義や統計、そして不登校のそれぞれの時期による対応についてお伝えしています。
【目次】
①日本の不登校の実態 |
②不登校の要因 |
③不登校の前兆期 |
④不登校の初期 |
⑤不登校の中期 |
⑥不登校の後期 |
⑦不登校の立ち上がり期① |
⑧不登校の立ち上がり期② |
⑨不登校の進路(中学生) |
⑩不登校の高校受験 |
不登校の定義は「不登校児童生徒とは何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」(文部科学省)とされています。
この定義のもと調査された不登校児童・生徒の数は以下のようになります。
小学校 | 中学校 | 高校 |
81,498人(1.3%) 77人に1人 |
163,442人(5.0%) 20人に1人 |
50,985人(1.7%) 59人に1人 |
小中高の不登校数は、295,925人おり、これは過去最高の数値と言われています。
またこれらの数字は、30日以上休んだ場合です。
毎日放課後にプリントを受け取りに先生に会いにいくと「出席」扱いになる場合があります。
「学校に行きづらい方」を含めるとこれらの数はさらに増えていくと考えられます。
不登校児童生徒数の推移です。(出典:文部科学省)
平成24年(2012年)以降微増していましたが、この5年(2016年〜2021年)の間に急激に増加しています。毎年過去最高記録を塗り替えているのが現状です。
背景には、2017年文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について」により、学校の対応として「不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。」と通知されたことが大きいと考えられています。つまり無理に学校に来させるのではなく、休養という視点も取り入れられるようになったということです。無理やり学校に来させることがなくなった反面、休みやすくなったことが数字を引き上げている要因と考えられます。
【小・中学校】 |
①無気力・不安 49.7% |
②生活リズムの乱れ・あそび・非行 11.7% |
③いじめを除く友人関係をめぐる問題 9.7% |
④親子の関わり方 8.0% |
⑤学業の不振 5.2% |
【高校】 |
①無気力・不安 39.2% |
②生活リズムの乱れ・あそび・非行 14.9% |
③入学・転編入学・進級時の不適応 9.4% |
④いじめを除く友人関係をめぐる問題 9.1% |
⑤選択肢に該当なし 7.6% |
小中高においても1位は「無気力・不安」とされています。ただこれは少し乱暴な選択肢で、実際にはもっと複雑な思いがお子さんの中には秘められています。
また「自分でもよくわからない」思いを持たれているお子さんも多いのです。
どうして無気力・不安になるのかという背景を理解することが重要なことのになります。
また原因は一つに絞られるものでもありません。いくつかのものが絡み合って起こると考えられます。
例えばお子さんが「クラスメイトに嫌なことを言われた」ことをきっかけとして学校に行きづらくなったとします。
この場合そのクラスメイトと距離を置いたからといって解決するわけではありません。
そのクラスメイトとの関係性や、どうしてその関係になったのか、さらには「嫌」と感じるお子さんの心の背景にはどのようなものがあるのか。
このように考えていく必要があります。
クラスメイトや勉強のことはあくまで「きっかけ」です。きっかけの奥にある背景を知るように心がけましょう。
不登校は同じ状態がずっと続くというわけではありません。それぞれの時期によってお子さんの気持ちにも変化が表れてきます。ただしこれらは「行きつ戻りつ」しながら進んでいきます。目安として5つの時期を押さえておきましょう。
学校や部活には行っている段階です。
しかしながら、心の中では言い表わせない悩みや不安が存在しています。
学校に行こうとしたら頭痛や腹痛などの身体症状が出てくることもあり、
また抑うつなどの心身症状も表れます。次第に学校に行きにくくなってきます。
本人もご家族も学校もこれが「不登校の前兆」だとなかなか気づけない段階です。
「学校に行きなさい」という声をかけてしまったり、
学校の先生からも「怠けている」などのことを言われてしまうこともある時期です。
わかりにくいながらも、何かしらのサインが出ている状態です。
以下の状態でないかを確認します。
【前兆のサイン】
●家庭内
・身だしなみに気をつかわない
・洗顔や歯磨きをしなくなる
・これまで楽しんでいたことに興味を失う
・笑顔がなくなる
・好物でも食べようとしない
・無理して食べる様子
・成長期なのに体重が増えない
・朝4時など早い時間に目が覚める
・夜、寝付けない
・昼間に眠くなる
・朝起きられない
・原因不明の頭痛や腹痛が起こる
●学校内
・授業中ぼーっとしている
・午前中は調子が悪い
・給食を残す
・クラスで孤立している
・泣いてしまうことがある
・授業に集中できない
・学校を休みがちになる
・元気がない、覇気がない
【対応】
①声がけを行う
「最近ちょっとしんどそうだね」と声がけを行って欲しいと思います。
特に中学生は、親と会話することを避ける傾向があります。
しかし、何か言いたいことがあっても、なかなか自分から話しかけられません。
最初は無視されるかもしれませんが、何かしらの声をかけることが大切です。
②思い切って休ませる
本人があまりにも疲れているときは、思い切って「休ませることも大事」
という考え方も大切です。
休むことに抵抗がある場合は、せめて土日だけでもしっかりと休むように促します。
部活動に参加している場合は、一度顧問の先生とも話し合うことが必要です。
③専門機関に相談する
上記のチェック項目は、子どもの「うつ」についての資料を元にしています。
こちらのチェックがある場合は、
カウンセラーはもとより、小児科、心療内科、精神科
精神保健福祉センターなどの専門機関にご相談されることも大切です。
本人は行きたがらないかもしれません。
その場合は、ご家族だけでもご相談ください。
学校側も、上記のようなサインが出ていることに気づいた場合は、
ご家族とお話し合いになることが必要です。
不登校が始まりだした時期です。
朝起きられず、学校に行かないということが始まります。
生活リズムが崩れ、身だしなみにも気を遣わなくなることもあります。
一見怠けているようにも見えるので、ついつい咎めてしまう時期です。
この時期は勉強などにも手を付けられません。
趣味にさえ手を伸ばせない時期で、ベッドで寝ていることが多い時期です。
この時期には簡単なお手伝いもできなくなります。
【本人に対しての対応】
まず本人に関することは次の2つに分けられます
①精神疾患が考えられるもの
②精神疾患以外の理由に関するもの
■①精神疾患が考えられるとき
専門医(小児科、内科、児童精神科)への相談が先決です。
本人は行きたがらないかもしれません。
まずはご家族だけで行かれることもお考え頂きたいです。
薬が出される場合があります。
[薬の処方時に気をつけること]
①何の薬で何に効くかを尋ねる
②副作用とその対処法について尋ねる
③薬のおおよその期間を尋ねる
④辞め方を尋ねる
以上を必ず医師にお聞き下さい。
■②精神疾患以外の理由に関するとき
特に小学生、中学生の間は、うまく自分の気持ちを言語化できません。
言葉にできない感情が心の中を渦巻いているので、
自分でもどうしたらいいのか分からない状態だと言えます。
まずはじっくりとお話を聞いてほしいと思います。
お話をする機会がなかなか作れない場合もあるでしょう。
特に中学生は親から離れた生活をするようになります。
その場合は、ドライブに誘ってみる、映画に誘ってみる、
散歩に誘ってみるというように「話をする」という状況でないところに声をかけてみることも効果的です。
そのついでにお話をする、というやり方をしてみてほしいと思います。
その際非常にネガティブな発言をすることもあります。
「そんなことを考えるのはやめなさい」ではなく、
「そうか、そんな風に考えてつらかったね」と声をかけてください。
お子さんの考えを丸ごと受け入れることからすべては始まります。
やがて今抱えている心のストレスを吐き出すようになります。
それが「立ち上がり」への第1歩だと言えます。
【家族の対応】
特に田舎など何世代も一緒に暮らす場合、家族の意識統一ができにくい場合があります。
本人と話をするよりもこちらの方に力がかかるということもあるでしょう。
ご家族の意識統一ができにくい場合は、第3者の介入が効果的です。
ご夫婦やご家族でカウンセリングを受けるということが話し合いをスムーズに進めてくれます。
身内同士の話し合いは、どうしても感情的になり、
そのことで家族がぎくしゃくし、お子さんにも影響を与えてしまいます。
ご家族だけで解決しようとはせず、専門機関(児童相談所、保健センター、教育相談機関、精神保健福祉センター、民間カウンセリングなど)を利用し、「第3者の活用」をお考え頂ければと思います。
【学校への対応】
まず学校側も家族側もやってはいけないことは「責任の押しつけ合い」です。
大切なのは、「今」と「これから」をどうしていくかについて話し合うことです。
宿題の軽減、学校行事のみの参加、進路に関する情報提供など、これからできることを共にお話し合いになることが大切です。
学校としても不登校児童の対応が初めてで、対応の仕方が分からない先生もたくさんいらっしゃいます。
互いに学んだことを共有しながら、相手の立場を尊重し対応していくことが大切です。
本人も周りも不登校生活にも慣れ始めたときです。
特徴として代表的なものを5つあげましょう
①昼夜逆転をしている
②テレビ、ゲーム、インターネットに没頭する
③高価なものをねだる
④長時間話をしてくる
⑤暴力行為をする
①昼夜逆転をしている
朝寝て夜起きるという生活が続いている時期です。しかしそれはある意味生活リズムが安定していると言えます。
生きていく上で必要な睡眠時間が確保できているのならば、また本人が「安心」した時間を過ごせているのならば、
この時期は昼夜逆転の改善は考えないで結構です。
②テレビ、ゲーム、インターネットに没頭する
起きている間に、一日中行うことがあります。一見怠惰に見えるかもしれませんが、
本人は決して楽しんでやっている訳ではありません。
「現実逃避」を行うために、没頭していると言えます。
「そんなことしていないで、少しでも勉強しなさい」と言うのではなく、
一緒にテレビを観たり、ゲームをしたりしてほしいと思います。
本人は1人でやるのが楽しいわけではありません。できれば誰かと同じ時間を共有したいのです。
時間が許す限りおつきあいされることが大切です。
③高価なものをねだる
インターネットなどで、高価なものを購入しようとします。
この場合すぐに購入するのではなく「お小遣いを貯めるために家事をしてみようか」など
どうすれば手に入るかを一緒に考えるようにしましょう。
④長時間話をしてくる
不登校をしている方は、基本的に1人で過ごすことが多いので、話し相手がいない生活を送っています。
ご家族が仕事から帰って来たら、つかまえるようにして、延々とテレビニュースの話などをすることがあります。
大切なのは、ご家族がお仕事をされている場合、身を犠牲にしすぎないということです。
時間が許す限り話し相手にはなって欲しいですが、
次の日に仕事があるのに遅くまでつきあっていては身が持ちません。
仕事のことをきちんと伝えた上で、お付き合いされることが大切です。
また、ご家族のことを罵倒したり、聴くに堪えないことを発言することもあります。
実際に誰かを直接傷つけるのでは無い限り、まずはお話をじっくり聴くことが大切です。
⑤暴力行為をする
暴言や暴力により、実際に人を傷つけた場合は、きちんと「NO」を伝えることが大切です。
「暴力は嫌だ」と必ず言葉に出して伝えてください。
暴力が著しい場合は、警察を呼ぶなどの法的措置も辞さないという態度を見せましょう。
暴力に関しては決して甘んじず、毅然とした態度で対応しましょう。
場合によっては離れて暮らすなどの対応も効果を発揮する場合があります。
【まとめ】
特にこの時期に必要なのは「ご家族自身のサポート」です。
お子さんへの対応で疲れてしまうこともあるでしょう。ご家族が疲弊しないように、
カウンセリングなどの第3者機関にかかることも大切です。
ご家族に余裕ができると、お子さんへのいい効果を生む場合がありますので、
第3者と連携を取りながら取り組んで行くことが大切です。
【学校への対応】
この時期は先生によっては定期的な家庭訪問をされる方もいらっしゃいます。
お子さんの中ではそれを嫌がる方もいらっしゃるでしょう。
どうしても会うのが嫌な場合は、学校のプリントだけ持って来てもらう、というようにお伝えすることが大切です。
学校のプリントさえもいらない、読みたくないという方もいらっしゃるでしょうから、無理に本人に渡す必要はありません。
ご家族が月に1度なり定期的なご連絡を取るという形でも結構です。
社会参加への準備を行う期間です。
内向きだった生活から、少しずつ外の世界へと視点を向けて行きます。
本人がやる気になってきたために、ご家族としては、
ついあれこれを注文しそうになる時期でもあります。
一喜一憂せず、少しずつできることを増やして行きましょう。
●お手伝いをする
まずは家庭の中の仕事から取り組んで行きます。
お風呂洗いをする、掃除機をあてる、食器を洗う、晩ご飯を作るなど、
本人に合ったできる範囲のお手伝いを続けて行きます。
ご家族としては、お手伝いができたときは
「助かったよ、ありがとう」と
必ず言葉に出して感謝を伝えてください。
できない日もあります。そのときは何も言わず、
できたときに必ず口に出すということを心がけて頂ければと思います。
次第にこのお手伝いの数を増やし、
ゴミ出し→買い物というように外に出るものに変えて行きましょう。
●外に出る練習をする
お手伝いのゴミ出し、買い物などに加え、図書館に行く、
家族と買い物に行くなど外にでる練習を重ねて行きます。
昼夜逆転がそれほど無い場合は、午前中に予定を入れるようにされればいいと思います。
ご家族によっては、「昼間学校に行っていないことがばれるから、午前の図書館はやめてくれ」
という方もいらっしゃいます。
しかし、本人が少しでもやる気になったのなら、背中を押して欲しいと思います。
●人が集まる場所に参加する
ボランティアや不登校・引きこもりの方が集まるNPO団体などの行事に参加していきます。
始めはご両親などと一緒に行かれるのがいいでしょう。
次第に1人でも行けるようにしていきます。
●昼夜逆転を改善する
改善してから行動を起こすよりも、
行動してから改善するというやり方の方が早く、
高い確実性で改善できます。
お手伝いをし、外にも出かけるようになってから、取り組んで行くことが大切です。
●勉強を始める
進路のことも考えだす時期です。心が安定し、意欲が湧いて来たら、
是非始めて欲しいと思います。
家庭教師や塾に通うというところから始めるのがいいでしょう。
不登校や精神疾患に関して知識のある方はなかなかいませんが、
きちんと状態を説明した上で、連携しながら行っていくことが効果的です。
始めから勉強という形にせず、散歩をしたり、
一緒にカフェに行ったりということから始めて行きましょう。
勉強だけをしてほしいというご家族の思いもあるでしょうが、
最初は遊びから入ることが大切です。
信頼関係ができれば、その後の勉強もスムーズに行えるでしょうし、
カウンセラーやご家族に言えないことも相談してくれるようになります。
●学校の部活だけ行くようにする
学校に行けそうな場合は、始めから授業ではなく、
部活や学校行事などから参加するという形を取ります。
行けるときだけ行くという形で結構です。
部活仲間や友人などと話す練習をしていきます。
学校側の部活の顧問や担任の先生方も、
少しずつ学校に来れるようにサポートすることが大切です。
【まとめ】
ご家族は本人ができないところに目を向けず、
できるようになったところを声に出して受け入れることに重点を置いてほしいと思います。
昨日の晩はやる気だったのに、翌朝になるとベッドから起きてこない、
ということもあります。
そう思っていたら、いろいろなお手伝いや外に出ることを活発に行うこともあります。
日々の生活に一喜一憂せず、できたところを口にして受け入れるということを繰り返し行って頂ければと思います。
再び学校に行きだしたり、進路についての勉強を始める時期です。
【学校に行く】
[ご家族の対応]
ふとしたきっかけで学校に行き始めることがあります。
それは本人も意識していないところで心のストレスが緩和されている状態です。
本人が行けそうだというときは、精一杯サポートしていきましょう。
ただし、親も学校側も「もう大丈夫だ」と思い、つい焦ってしまうことがあります。
また、本人ももう一度頑張ろうとと思い、つい張り切ってしまう時期です。
本人のテンションはなかなか抑えるのが難しいですが、周りの対応としては、
冷静な目でサポートすることが必要です。
しんどそうになったら休ませる、勉強も部活も、と思わないことが大切です。
送り迎えが必要なら、せめて最初のうちは出来る限りご対応ください。
学校を休むときがあっても、冷静にご対応ください。
また、カウンセリングを受けていた場合は、学校に行きだしたからといって辞めないでほしいと思います。
学校に行き始めても半年から1年はご継続される方が良いかと思います。
理由は、学校に行くようになる、ということも含めて、不登校の一環だからです。
学校に行くことで、形としては不登校ではなくなりますが、それでそれまでの対応を辞めていいということではありません。
学校に行けば、新たなストレスが生まれます。それを緩和して行く対応は今後も続けて頂ければと思います。
[学校の対応]
学校側も、宿題などに考慮するなど、負荷をかけないようにしていくことが必要です。
「学校に来たら特別扱いできない」というのではなく、出来るだけ低いハードルで、
継続して学校に来られるようになるように環境を作ることが必要です。
特に不登校をしていた子どもたちにとって、「学力の遅れ」は深刻な問題です。
短い時間でも補習を行うなどの対応を取りながら、学校に慣れて行くように、
ご家族と学校側が連携を取って行きましょう。
【進路について積極的に考えだす】
中学生の場合ですが、学校には行かないまでも、
いろいろな場所にでかけるようになったり、
中学校卒業後の進路について積極的に考えるようになります。
家庭教師や塾、家庭教材学習などを活用しながら、取り組んで行きましょう。
ここでも決して無理はさせません。
本人はこれまでを挽回しようと無理をすることが多々有ります。
疲れそうになる前に休ませる、ということを続けて行きましょう。
そのための日々の声がけは大切です。
ものごとが前に進みだしたからといって、これまでのやり方が終わる訳ではありません。
常に対応の仕方について原点に戻るということをお忘れないようにして頂きたいです。
中学時代は学校に行けなかったけれど、
高校から通い始めるという方もいらっしゃいます。
特に高校1年生時に気をつけるべきことを述べます。
【入学前】
●無理な進路決定をしない
高校に進学する際、一番に考えるべきことは、
「学校生活に慣れる」ということです。
そのため、学力が高すぎる高校などをお考えの際は、
今一度お立ち止まり頂きたいと思います。
不登校をしていた方は特に不安を抱えながら進学されるでしょう。
同じストレスを受けても、他の方と比べダメージが大きいことがあります。
しんどくなりそうになったら休むということが出来やすい高校選びが肝要でしょう。
ときに休んでも十分に授業について行ける環境から始めることが大切だと考えます。
●入学前の学校側との話し合い
中学校と高校はその連携があまり望めません。
まったく高校側に情報提供しない、ということもあります。
入学前に、高校に出向き、今の状態がどのようなものであるのか、
精神疾患がある場合は、どのような疾患で、
どのような薬を飲んでいるのか、などを丁寧にお話することが必要です。
この際、必ず文書に起こしてお話合い下さい。
理由は一回で学校側も理解することはできないからです。
入学後も、継続してお話し合いを持たれるのがいいでしょう。
【入学後】
●入学後の学校側との話し合い
「出席日数」について、必ずお話しされるようにして頂きたいです。
高校は中学と違い、決められた日数を出席しなければ留年が決定します。
学期毎でもいいですので、今どれだけ休んでいるか、
どの科目があとどれだけ休めば単位が取得できないか、
という点についてお話し合いをされることが大切です。
●部活動などについて
部活動に入る場合もあります。もちろん奨励すべきことですが、
まずは優先順位「学校に慣れる」ということを常に念頭に置いて頂ければと思います。
お子さんにもこのことをよくお話しになり、
余裕が出来始めたら入部するという形を取られるのが良いかと思います。
●土日祝日、夏休み、冬休みに徹底的に休ませること
特に高校1年生時の夏休み、冬休みは、
しっかりと「休む」ということを第1に掲げて欲しいと思います。
宿題も大量に出ることもあるでしょうが、
極論「親がやる」ということでも私は構わないと思っています。
不登校をしていた方が、再び学校に行くようになるのは、
大人には想像もつかないほどのストレスになります。
休みの日は、何も考えずに十分にのんびりして欲しいと思います。
夏休みなどの長期休暇に、学力などの遅れを取り戻そうとされることもあると思います。
しかしここは目をつぶりましょう。
ただでさえ、心のカップはストレスという水で溢れかけている状態です。
余計にストレスを加えると、水が溢れ出てしまいます。
ここでも大切なのは「学校生活に慣れる」ことです。
そのためには、勉強は二の次になっても構わない、
という姿勢を大事にして欲しいと思います。
【その他心得】
●親は決して焦らないこと
親御さんとしては「やっと学校に行きだした!」と思われることもあるでしょう。
その上で一日学校を休んだら「またぶり返した。。。」と思われることもあると思います。
人は誰しも新しいことができるようになると「もっと」と言ってしまいがちになります。
決して焦っては行けません。専門家などの助言をもらいながら、
一喜一憂しない姿勢が必要です。
学校から帰ったときに、家で十分にリラックスできるように、
積極的に気分転換をはかりましょう。
そして、出席に関しては「本人に任せる」
という気持ちをもたれることが大切です。
「親だけは絶対的な味方だ」とお子さんが感じることで、
安心感が生まれ、心に余裕ができてきます。
そうすることで学校生活を楽しめるようにもなってくるでしょう。
●「失敗したらもう一度やり直そう」は言わないこと
大人にとっては、学校に行けなくなることは大したことではないと思われるかもしれません。
しかし、この年代の方たちにとっては、1年の遅れが大きな意味を持ちます。
不登校を経験した方にとって、再び学校に行けなくなるということは、
大きな挫折となります。そこから立ち上がるようになるまでには、
また長い時間が必要になります。
「失敗してもいいんだよ」と言わず、
できるように一緒に動くことが大切です。
そのために学校側とも連携し、
あらゆる可能性を模索してほしいと思います。
中学生から高校に上がる際の進路決定に関しては、いくつかの選択肢があります。
特に中学時代不登校を経験し、高校で再登校を始める際は、
無理をせずに通えるところを選ぶ必要があります。
【全日制高等学校:一般入試】
●公立高校
【受験制度】地域によっても異なりますが、例年3月の一般入試を受け、合否が決定します。
【授業時間】学校の授業時間はおおむね午前8時15分から15時30分くらいです。
その後部活動をした場合は18時頃になるでしょう。
【不登校児童のケアについて】
不登校児童を積極的に受け入れるということではなく、平等に試験を受けて入学を受け付けます。
よって、不登校児童のケアが行き届いていない学校も多いと言えます。
中学校からも特別に連絡は行き渡りません。
個別に入学前にお話し合いをされるのがベターだと言えます。
●私立高校
【受験制度】試験日はおおむね2月にあります。面接を併用するところが多いです。
【授業時間】授業時間は公立とほぼ同じです。
【不登校のケアについて】
不登校児童を積極的に受け入れている高校も多いです。
ある高校では全校生徒の2割が元不登校児童だとお聞きしたことがあります。
不登校生だからといって、特別な対応をされることはないと、学校側は一応言いますが、
公立に比べ、ケアはされやすいと言えます。
もちろん十分なケアとまではいきませんが、欠席日数などの対応も柔軟だと言えそうです。
【全日制高等学校:推薦】
●公立も私立もおおむね制度は同じです。学力試験と人物評価などが行われ、
面接試験も課せられることがあります。公立の場合試験は1月頃となります。
【寮高校】
●寮生活を行いながら学校に通うという形態です。
【受験制度】面接が中心です。あらかじめ寮への入寮体験をするところもあります。
おおむね4月入学が多いです。
【授業時間】全日制と同じような時間帯で組まれることが多いです。
週末には家に帰る、という制度を設けられているところが多いです。
【不登校のケアについて】
四六時中教員と生徒が一緒にいる訳ですので、メンタル的なケアはまずまずと言って良いと思います。
ただし、一日中集団生活となりますので、学校生活よりもそちらの生活の方を重視する必要があるでしょう。
【定時制高等学校】
【受験制度】一般の公立の高校と同じ試験で例年3月頃に行われます。
【授業時間】おおむね16時半頃から21時~22時頃までです。3部制を採用しているところもあり、
こちらは午前、午後、夜間と分かれていることがあります。
【不登校のケアについて】
特別にケアをするということはありませんが、不登校を経験して入学する生徒さんも多いです。
また何らかの理由があり他の高校を中退した方、
年配の方も入学するので、メンタル面でのサポートは全日制より行き届く可能性は高いです。
生徒数も全日制に比べ少ない場合もあるので、先生との距離は比較的近いと言えそうです。
【高等専門学校】
●通称「高専」と言われている学校です。
●通常5年制の学校です。卒業すると準学士という名称になります。
【受験制度】通常の公立の受験とほぼ同じだとお考えになるといいでしょう。
難易度は中~高程度と言えます。
【授業時間】一般的な全日制と近いスケジュールと言えますが、
若干長くなることもあります。また専門性の高い授業となります。
【不登校のケアについて】
特別なケアはないところが多いでしょう。ただし、自身がやりたいことを専門的に学べるので、
通常の高校にくらべモチベーションは高く維持できる可能性があります。
【高等専修学校】
●いわゆる専門学校とお考えになって頂いて結構です。商業系、調理系、美容系が多いです。
【受験制度】無資格で入学できるところが多いです。
【授業時間】一般的な全日制と近いスケジュールと言えますが、
若干長くなることもあります。また専門性の高い授業となります。
【不登校のケアについて】
特別なケアはないところが多いでしょう。こちらも高専と同じく、自身がやりたいことを専門的に学べるので、通常の高校にくらべモチベーションは高く維持できる可能性があります。
【通信制高等学校】
●学校にほとんど通わずとも高校卒業の資格が取得できる学校です。
【受験制度】受験科目はそれほど難しくないところが多いです。
入学時期はおおむね4月頃が多いです。面接があるところもあります。
【授業時間】自宅でのレポート作成が課せられます。
また週に数回もしくは月に数回のスクーリング(学校に通い授業を受けること)
が義務づけられているところが多いです。
【不登校のケアについて】
特別なケアというものはないところもありますが、
学校によっては教員すべてがカウンセラーの資格を持っているところもあります。
学校そのものの不安よりも、1人で勉強を続けて行けるかの不安の方が大きいでしょう。
ご家族もサポートしながら一緒に学んで行く姿勢が必要です。
【高等学校卒業程度認定試験】
●通称「高認試験」と呼ばれるものです。昔大検と呼ばれていたものです。
高校卒業の資格は取得できませんが、「高校卒業と同程度」の資格を取得することはできます。
よって大学や短期大学、各種専門学校の受験資格を得られます。
一般的に言っても、高認試験=高校卒業と考えられていることが多いので、
このことにそれほど大差があるわけではありません。
ただし大学の推薦入試によっては高卒認定試験合格者の受験ができない場合もあります。
また、高校によっては、欠席などで取得単位が満たない場合、
高認試験を受けることで補うことができる場合もあります。
各学校に問い合わせることが大切です。
【受験制度】
・
指定された期日までに満16歳以上の方であればどなたでも受けられます。
・
まったく高校に行っていない場合は、8~9科目受験する必要があります。
・
試験日は例年8月と11月で、一度合格した科目に関してはその後も継続して単位取得と認定されます。
・一年でも高校に通われていたら、半分ほど単位が取れている計算になり、受験科目は4科目程度に減ります。
・
合格基準点は各科目約40点前後と言われています。
【授業時間】
学校に通うということはなく、自宅での独学が可能です。
1人の勉強が不安な場合は、家庭教師をつける、通信教育を受ける、
塾に通うという選択肢が考えられます。
【不登校のケア】
学校に通うわけではないので、特別にケアなどはありません。
1人の勉強を続ける方が多いと思いますので、
ご自身のモチベーションの維持が何より重要になってきます。
【その他】
●留学する:日本ではなく海外で勉強するという進路です。
海外の高校に入るということも可能です。
●働く:中学卒業の時点で就職はなかなか難しいですが、
職人などの見習いから始めることもできます。
また、定時制や通信高校、高卒認定試験を受けられる方は特にアルバイトをされることも多いです。
こちらに述べた進路選択はあくまで選択肢の一部です。
私はどのような選択があってもいいと思っています。
中学から高校にあがる時期は、
おそらく人生で初めて進路を決定するという経験をされる方が多いと思います。
不安な点もあると思いますが、ご自身のやってみたいことを見つめ直すいい時期だとも言えます。
ご両親、学校の先生、カウンセラーの方々などと話をしながら、お一人で悩まず、共に考えて行くことが大切です。
不登校を経験されている方にとって高校受験はたくさんの不安があるものです。しかし受験は情報戦です。情報を丁寧に集めることで本来無理と思われていたことが可能になることがあります。当事業所ではさまざま例がございます。最初から諦めずまずはご相談ください。
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