こんにちは。不登校・ひきこもり専門カウンセラーのなかがわひろかです。
高校や大学中退や就労難しかったり、うつ病などのメンタル不全からひきこもり状態になることがあります。
「どうしてひきこもりになったのだろう?」
「親の対応は何に気をつけたらいいのだろう……」
「将来はどう考えていけばいいの?」
このような悩みをお持ちの親御さんも多いでしょう。
このコラムではひきこもりのお子さんがいらっしゃる親御さん向けにひきこもりの理解とその対応についてお伝えします。
お悩みの方はぜひお読みいただけたら嬉しいです。
【目次】 |
①ひきこもりの定義 |
②ひきこもり先進国日本 |
③ひきこもりの要因 |
④ひきこもりスパイラル |
⑤ひきこもりの初期の状態 |
⑥ひきこもりで起こりやすいこと |
⑦対応で心がけること |
⑧ひきこもりの進路 |
⑨就学就職後のメンタルケアを忘れない |
【ひきこもりの定義】
■内閣府
「『普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する』
『普段は家にいるが、近所のコンビニなどにはでかける』
『自室からは出るが、家からは出ない』
『自室からは出ない』
以上の状態が6ヶ月以上で統合失調症または身体的な病気、
自宅で仕事をしている人、家事育児をしている人をのぞく者」
■厚生労働省
"ひきこもりとは、様々な要因の結果として、社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊 など)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態。(他者と関わらない形での外出 をしている場合も含む)"
■斉藤環医師(「社会的ひきこもり」の著書)の定義
「20代後半までに問題化し、6ヶ月以上、
自宅にひきこもって社会参加をしない状態が持続し、
他の精神障害がその第1の原因とは考えにくい状態である者」
これら3つが今日本で言われているひきこもりの代表的な定義となります。
こちらをご覧頂いたら分かるように、ひきこもりの定義は、
「社会参加をしない状態が6ヶ月以上続いた状態」と言えます。
しかしながら、この定義に当てはまらないから「ひきこもりではない」とは言い切れません。
お子さんの様子を見て「心配だな」と思われたら、定義に関係なく相談することを考えてみましょう。
【データ紹介(2023年内閣府発表)】
直近のデータとしては、内閣府が2023年に統計を発表しました。
定義に当てはまる「ひきこもり」が、全国に約146万人いるとされています。(内訳は「家からは出る」を「準ひきこもり」、
「家から出ない」者を「狭義のひきこもり」とし、その合計を「広義のひきこもり」として出した数が146万人です。)調査対象は全国の15歳~64歳までの男女です。
8050問題
「8050問題」とは、80代の親が50代のひきこもりの子どもの面倒を見るという問題です。
これはやがて9060問題へと発展すると言われています。
ひきこもり問題は、決して遠い世界の話ではないのです。
今やひきこもりは英語表記でも「hikikomori」と表現されるものとなっています。
日本だけでなく韓国やイタリアでも増えているとされています。
その中でも日本がひきこもりの「先進国」になっています。
ひきこもりに対してどのような対策を担っていくのか。
世界が注目しているのが今の日本が置かれている現状です。
心理面・身体面・社会面・発達障がいの要因が考えられますが、
これらはそれぞれが複雑に絡まりあっている状態です。
きっかけとして一番多いのは「病気」です。
うつ病やパニック症などの精神疾患を発症し、仕事や学校をやめ、
そこから治療の期間と続き、ひきこもりへと進んでいきます。
また「不登校」の延長からのひきこもりも約10%ほど存在します。
ひきこもりは働き出してからも起こりうるものです。
ひきこもりの期間が長引くことで、社会に出ることに「恐怖心」を抱くようになります。
体は元気になっているけれど、メンタル面で大きな壁に直面することになります。
この壁の存在によって、さらにひきこもりが長期化していくと考えられます。
長期化を防ぐためにはご家族の協力、そして専門家の存在は大きな力になります。
どのような状態になったら「ひきこもりが始まった」と思うべきなのか。そのヒントを解説していきます。
□昼夜逆転をしている
→不登校やひきこもりに多いパターンがこれです。
昼間寝て、夜起きるという行動の裏側には、「家族に会いたくない」
「みんなが学校に行っている、働いている時間に起きていたくない」という心理が隠されているとも言えます。
夜中に外を出歩くことも少なくなるので、外出をしなくなり、閉じこもりがちになります。
□髪の毛を切らない・服装を気にしない
→人に会う機会が減ってくるので、外見をそれほど気にしなくなります。
また美容室に行って人と話をするのもおっくうになるので、髪が伸びたままになることがあります。
また、たまに外に出るときであっても、家の中の状態と近いままに出ることがあります。パジャマ同然の姿で外に出たりします。
□長時間の話し相手を求めてくる
→特にご両親に対して多いと思います。外に出ないので、誰とも話をしません。
ご両親が帰ってくるなり、ずっと話しかけるということがあります。
これら3つを一つの指針とされてみてはどうでしょうか。
特に「昼夜逆転をしている」というのは大きなウェイトを占めると言っていいと思います。
生活リズムそのものが、社会との接触を低減させているということなので、分かりやすい状況かもしれません。
ただし、これらがあるからと言っても、すぐに「ひきこもりだ」とも言えませんが、
期間が長くなりそうな場合(目安として3ヶ月から半年)は、ひきこもりが始まっていると捉えていいでしょう。
ひきこもり生活をしている方の中では、さまざまな気持ちを表に出す場面が訪れます。どういったことが起こるかについてとその対応について説明して行きます。
□暴力をふるう
→家庭内で物に当たったり、壁を蹴ったり、場合によっては家族に手を上げたりする場合があります。
自分の気持ちをどう言語化していいか分からず、暴力に走る場合です。
対応としては、暴力の裏側に隠れた思いをきちんと聴くということが必要です。
ただし、あまりにもひどい暴力の場合は、専門機関を呼ぶことも大切です。
「ここまでやったら親はこういう対応を取るのだな」と認識してもらうためです。もちろんその後のケアは必要になっています。
□暴言を言う
→ご家族、特にご両親に対して暴言を言う場合があります。
「こうなったのはお前たちのせいだ」「育て方が悪かった」というようなことです。
それまで一度もそういったことを言ったりしたことのなかった方にも起こる場合があります。
その場合ご両親はとても驚かれると思いますが、すべて吐き出してもらうことが必要です。
ご両親としては、ひどい言葉を投げかけられショックを受けられるかもしれませんが、
それらがすべて本音だということではありません。本人も思っていないのに言ってしまうといことがあります。
感情を吐き出させるということに重点を置き、発言内容にとらわれないようにすることが大切です。
□世の中に対する批判を行う
→ひきこもり生活が長くなった場合、テレビやインターネットなどの情報に触れることが多くなります。
テレビに出てくるコメンテーターの意見をそのまま受け取ったり、
インターネットの掲示板などに書かれたことを丸呑みしたりすることがあります。
正論を組み立てて話すので、反論をしても、言いくるめられる場合があります。
大切なのは、内容がどうであれ、「話をしたい」という欲求があることに気づくことです。
とことん話してもらうことが必要です。ときに何時間も話す場合もあるでしょう。
おつきあいできる限り聞いてほしいと思います。
ただ、次の日お仕事などがあって早く休まなければならないこともあると思います。
そのときは、きちんとその旨をお伝えになってください。きちんとご家族の伝えなければならないことを伝えるということも大切なことです。
□高い買い物を要求する
→インターネットなどのサイトで高額な物を購入することがあります。
大量の本を購入したり、それほど使う訳でもない物を購入することがあります。
これはある種親を試しているところがあるでしょう。
自分に対してどれだけお金を遣うことができるかを見定めているとも言えます。
また、甘えたいという気持ちの表出とも受け取れます。
すぐに買い与えるのではなく、「どうやったら買うことができるかを一緒に考えよう」という姿勢が重要です。
本人へのサポートに関しては、細かく「これをしてはいけない」とまとめている方もいらっしゃいますが、
それら全部をやろうとすると、やってはいけないことばかりと感じて何もできなくなるときがあります。
ここではポイントに絞って、最低限これはやってほしいということを述べて行きます。
□ひきこもりを「怠けている」「何もしていない」と捉えないこと
→対応の第1段階はまずここから始まります。
ひきこもりの状態を見ると、昼夜逆転をしたり、
家のことをしなかったりと怠けているように見えることもあるでしょう。
しかし、彼らは心から怠けているわけではありません。
むしろ、毎日焦燥感や絶望感、そして家族に対する罪悪感に心の中が満たされきっている状態であると言えます。
彼らのこういった心の内をなかなか周りは理解できないことがあります。
対応の第1段階としては、まず彼らのこのような気持ちを「受け止める」ことです。
すべてはここから始まります。
□あれをやれこれをやれ、にならないこと
→ひきこもりの状態は一時的にそれまでできていたことができない状態にあります。
お手伝いをしなくなったり、規則正しい生活ができなくなったりなどです。
こういった状態を見るとご家族としては、「○○しなさい」という対応をされることが多いでしょう。
「早く寝なさい」「運動しなさい」などです。
しかしながら、ひきこもりの状態は「やらないといけないことは十分に分かっている」状態です。
にも関わらずできない状態であるということを認識する必要があります。
○○をしなさいではなく、少しでも何かしらやってくれたら「○○やってくれてありがとう」「○○できたな」とできたことに対する感謝を伝え、できたことを受け止める言葉をかけてほしいと思います。
期間は人それぞれですが、やがて気持ちが沸き上がり少しずついろいろとできるようなってきます。まずは焦らず、できるようになったことに目を向けるという気持ちを持って頂ければと思います。
□勉強や将来のことに関しては気持ちが十分に出てきてから
→先ほどのものにも関連しますが、「どうせ休んでいるなら資格の勉強でもしたらどうだ」とおっしゃる場合もあるでしょう。
ただ、ひきこもりの状態は何もしていないように見えて、内面は毎日焦りと絶望感で満たされています。
その状態で新しいことをやるのはハードルが高すぎると言っていいでしょう。まずはしっかりと休み、暇を感じることが大切です。
そしていろいろなことができるようになり、生活リズムも安定してきた頃に、
進学や就職について考えるようにすることが大切です。
勉強などをするのは、立ち上がりの最終段階になります。
社会に出る活動をするためには、まずは彼らの気持ちが周囲が理解すること、
そして周りが「できるようになったことに目を向ける」ということをしていく必要があります。
その最終段階が進学や就職です。
ひきこもり生活から立ち上がり、次のステップを考えるとき、いくつかの選択肢があります。
【高校を中途退学している場合】
□高卒認定試験を取得する
→高校卒業と同程度の資格を得ることのできる試験です。
例年8月と11月に試験が行われます。
高校に1年でも通っていれば、
既に取得済みの単位があると見なされることもあります。
受験科目が減りますので、勉強が楽になることもあります。
こちらの資格を取得すれば、
専門学校や大学、短期大学の受験資格が得られます。
就職においても高校を卒業程度の学力があると見なされることが多いです。
□高校に入学し直す
→選択肢として
①全日制高校
②定時制高校
③通信制高校
④各種専修学校
が考えられます。
こちらは通常の入学試験を受けることになります。
通常3年程度で卒業できます。
通信制高校ならば、
それまでに取得している単位があるならこの期間は短くなることもあります。
【高校を卒業している場合】
□大学・短期大学・専門学校に入学する
→高校卒業の資格を持っている場合は、
大学・短期大学・専門学校の受験資格があります。
場合によっては推薦入試を受けることも可能です(大学、高校にご確認ください)。
大学入試は高校入試などと比べて特殊な部分があります。
大学によって受験科目も異なります。
高校入試や高卒認定試験に比べても受験科目は少ないですし、
正しい情報を集めれば比較的簡単に入れる場合もあります。
大学受験となると気構えてしまう場合もあると思いますが、
戦略をきちんと練れば十分に合格可能です。
就職に関しては後にまとめます。
【大学を卒業している場合】
□違う大学に入学し直す
→再度大学生になる場合です。
既に大学を卒業している場合、
学士入学(3年次に編入)という形もあります。
□大学院に進学する
→大学院には修士課程(2年)、
博士課程(3年)があります。
実は大学院は大学に入るよりも入りやすい場合があります(学部によります)。
【就職をしていた場合】
□資格を取得する
→すべての場合に言えますが、
何らかの資格を取得することもできます。
資格取得のための学校に通うということも考えられます。
□アルバイトから始める
→いきなり就職するのが大変な場合は、
やりやすいところから始めることです。
アルバイトから正社員になる場合もあります。
□就職活動をする
→履歴書の空白期間を気にされる方も多いと思います。
一人での就職活動はどんな人でも大変なことです。
人材紹介会社に相談するということもできます。
私も以前転職会社で働いておりました。
転職のプロにアドバイスをもらうことは効果的でしょう(人材紹介は無料サービスです)。
進路については、さまざまな選択肢があります。
ここに述べたことはあくまで一般論です。
留学するという道もありますし、
自分で会社を作るNPO法人を作る、
個人事業を始めるということもできます。
私としては、やってみたいことが見つかった方の背中は、
すべて押して行きたいと思っています。
道はどのようにも作り上げることができます。
一般的な選択肢に縛られず、広い目で考えてほしいと思います。
学校に行くようになった、仕事をするようになった、ということで、喜ばれる場合もあると思います。
ただ、特に最初のうちは、カウンセリングや専門機関との連携を続けてほしいと思います。
環境が変わることでそのときに感じるストレスは本人が思っている以上のものがあります。
気づかないうちにストレスがたまっているということは誰にしても起こることです。
就学や就職をしても、半年に1回でもいいので、
カウンセリングなどを受けてほしいと思います。
だんだんと頻度を落とし、年に1回などでも構いません。
大学に入ったから、
仕事をできるようになったからと安心せず、
継続して受けて行かれることをおすすめ致します。
このようにメンタルのサポート機関とつながっておくことは、
再度ひきこもりにならないためにも重要な方策なのです。
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