高卒認定試験について


高卒認定試験とは、正式名を「高等学校卒業程度認定試験」と言います。高校を卒業できていない、もしくは通うことができなかった方を対象とし、「高校を卒業した人と同等程度の学力がある」と見なされる試験のことです。一般的に「高認試験(こうにんしけん)」と呼ばれるものです。文部科学省が実施する、れっきとした国家試験の一種になります。

 

それでは高認試験とはどんなものか。詳しく見ていきましょう。

高認試験を受けたら得られる効果


文部科学省によると以下のような効果が得られるとされています。

 

1.公的に「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」とみなされる(高等学校卒業程度認定試験規則第1条)。

2.大学(短期大学を含む)・専門学校の入学試験の受験資格を得ることができる。

3.就職の際、地方自治体・民間企業の一部から高等学校卒業者と同等に扱われることができる

 

高校を卒業することと同程度以上の学力があることを証明する試験になります。ただし、高認試験はあくまでも「高校卒業と同程度の学力がある」と見なされるものなので、学歴は「中卒扱い」となることに注意しましょう。

受験資格


以下のように規定されています。

 

"受験する年度末までに満16歳以上になる者。ただし、高等学校の既卒業者や旧・大学入学資格検定合格者、既に本試験に合格済みの者など、既に大学入学資格を持っている者は除く"

 

16歳で、高校を卒業していない人は、受験資格があります。もちろん一回の試験で全科目合格することもあります。「じゃあ16歳で大学を受けられるの!?」それはできません。飛び級で17歳から受けられる大学もありますが数は限定されています。大学は満18歳になるまで受験資格がありません。

 

早く合格したら、18歳までは、受験勉強をして大学を目指すことになります。

受験日程


受験は年に2回行われます。

 

第1回:8月上旬(出願期間:4月中旬から5月上旬)

第2回:11月上旬(出願期間:8月下旬から9月中旬)

 

スケジュールは以下の通りです。必ず文部科学省のサイトもご確認ください。

 

第1回

第2回

受験案内 令和5年4月3日(月曜日)配布開始 令和5年7月18日(火曜日)配布開始
出願期間 令和5年4月3日(月曜日)〜5月8日(月曜日)※5月8日の消印有効 令和5年7月18日(火曜日)~9月8日(金曜日)※9月8日の消印有効
試験日 令和5年8月3日(木曜日)、8月4日(金曜日) 令和5年11月4日(土曜日)、11月5日(日曜日)
結果通知 令和5年8月29日(火曜日)発送予定 令和5年12月5日(火曜日)発送予定

詳細:文部科学省

試験科目


試験科目は、最小で8科目、最大で10科目となります。

また1年でも高校に通った場合、いくつかの単位が取得された状態となるため、受験科目を減らすことができます。科目の免除申請を行えば、少ない科目数で合格を得ることができます。

 

過去の例)

高校2年生で中退:約半分

高校3年生で中退:1~2科目

 

また学校によりますが、合格した単位を、不足している単位に当てはめて単位取得扱いにしてくれる場合があります。

 

過去の例)「総合」の授業の出席が規定を満たしていないが、高認試験で「国語」に合格したので単位を取得したものとみなす場合など

教科 科目 単位数 合格要件
国語 国語 1 必修
地理歴史 世界史A/B 1 いずれか1科目必修
  日本史A/B ・地理A/B 1 いずれか1科目必修
公民 現代社会 1または2 「現代社会」1科目または「倫理」「政治経済」の2科目いずれか必修
  倫理    
  政治経済    
数学 数学 1 必修
理科 科学と人間生活 2または3 以下の1.2のいずれかが必修
  物理基礎  

1「科学と人間生活」+「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」のうち1科目合計2科目

  化学基礎   2「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」のうち3科目
  生物基礎    
  地学基礎    
外国語 英語 1 必修

合格難度


試験問題の難易度は、高校1年生レベルとなり、合格点はおよそ40点となります。それぞれの科目の合格者は70%ほどになります。

50点を目指した勉強をすれば十分合格を勝ち取ることができます。心配な方は一度過去問を見てみましょう。

▶︎高卒認定試験過去問

受験料


7科目〜10科目 8,500円       
4科目〜6科目 6,500円
1科目〜3科目 4,500円

試験会場


都道府県毎に1会場(47会場)、全国の少年院、刑務所等の矯正施設

選択肢としての高認試験


高校が休みがちで、単位が取得できない場合、お子さんはプレッシャーを感じてしまうことがあります。仮に退学することになっても「高認試験」を受けることで、大学受験が可能になります。もしものための「保険」として高認試験のことを知っておくようにしましょう。

願書の取り寄せ


文部科学省のサイトよりお取り寄せください。

▶︎文部科学省高認試験サイト

勇気を出して一度受けてみる


試験(しかも国家試験)と言われると、躊躇してしまう方もいらっしゃると思います。高認試験は、きちんと準備していけば、十分に合格を勝ち取れるものです。また一度に全科目合格せずとも、分散して受けることが可能です。今回は2科目、来年は4科目、というように順番に取得する戦略をとることもできます。ご自身のペースに合った方法で取得する方法を考えていきましょう。

勉強法などで困ったことがあったら、遠慮せずにご連絡ください。的確な方法をお伝えします。

学校に行けないからと言って大学を諦めることはありません。まだまだできることがあります。一緒にチャレンジしてみましょう。